みなさんこんにちはkazuです。
修理工場と損保アジャスターとのやりとりについてみなさんはどう感じていますか?
歴史ある修理工場の立場でアジャスターと様々な駆け引き、数々の交渉をされてきた社長さんや従業員さん。過去の経験からこうすればいいというある程度のマニュアルみたいなものを自分の中にで持っているのではないでしょうか。
「アジャスターは敵だ」あるいは「アジャスターとは仲良くしたほうがいい」
と、両極端な声が聞こえますがこれも過去の経験から得た考え方ですしどちらも正しいと思います。
様々な考えがあるとは思いますがアジャスターといい距離感を保つための方法をお話ししようと思います。
まずはアジャスター視点から。
【アジャスターはサラリーマン。ある一定の決まり事に則って交渉する人間】
資格取得や役職がつくとある程度の裁量を持たされますが基本的にはサラリーマンですのでコンプライアンスの徹底を指示されます。
コンプライアンス=法令遵守、規則遵守
ですね。
私たちも定期的に研修を行ったり、同じメールが何度も送られてきたりと徹底的なまでにコンプラ、コンプラです。
会社と修理工場に挟まれて現場の人間はすり減っていくばかりで正直うんざりしています。
サラリーマンですから会社の言ったことをやらなければなりません。
会社の基準も理解できますし、おそらく法的に戦ったら勝てるものも多いでしょう。
ただ修理工場の苦労や苦悩も理解できますので私は工場側の言い分をしっかりと聞いた上でできるだけ寄り添った交渉、協定を心がけています。
ですので初めから聞く耳を持たず敵対心剥き出しで交渉をされると非常に悲しいです。
「寄り添いのスタンス」で業務をしているアジャスターもいるということは心に留めておいてほしいと切に願います。
【アジャスターの立場が強かった時代があった?】
聞いた話ですが一昔前は「アジャスター様」の時代があったようです。今では考えられませんがw
ビール券をもらったり、接待を受けることもあったと聞きます。あくまでも昔の話ですが。
歩合制かつ直行直帰だった頃は自らの裁量で仕事量を調整して日中ゴルフや温泉に行ってたなんて話も・・・
良い?時代もあったものです。
今では金銭はもちろんお歳暮や粗品のタオル、コーヒーやタバコの一本まで取引先から何かを受け取ることを徹底的に禁止されています。それが純粋な好意であったとしても丁重にお断りしなければなりません。断りきれない場合は上司に報告し、渡された物を後日お返しに行かなければならないのです。
時間も徹底的に縛られます。人員は削減され仕事量は多く、生産性を上げると言っていながら新しい取り組みをいくつも課してきます。
【利益を出したくて当然だけど損して得を取ろう】
最近起業をして保険請求関連の仕事がよくわからないという方もいらっしゃいます。
私はこういった方に対しては親身に丁寧に保険請求の方法をお伝えしています。
というのも前述した通り「アジャスターは敵だ」との考えを持ってしまわないよう信頼関係を構築したいからです。
また、修理工場と仲良くなってざっくばらんな話をし、困った時はお互い様。そんな関係を本心では望んでいます。
修理工場の皆さんが「アジャスターは敵」という認識になってしまうのはアジャスターにも責任はあります。
交渉ごとはお互いを尊重しなければ上手くまとまらないと思いますが一方的に減額を要求したり上から物を言ったりすれば誰だって「あいつは敵である」と認定してしまうはずです。上から物を言うアジャスターは過去の良い時代を忘れられない方達てしょう。対等な立場なわけですし、そもそも人に対して上から物を言ってはいけませんよね人として。
逆もまた然りで、工場から突き放すような交渉をされると協力したくなくなります。人と人ですから相手を思いやる気持ちが大切ですね。
工賃の請求で項目立てをする際に、取れる項目で取ろうというのは大切なことですがあまり細かいところに拘るのはやめた方がいいと感じます。例えば500円や1,000円の項目でも引いてほしいと言われることはありませんか?それはアジャスターが会社から払ってはいけないと言われている項目です。根拠があってのことではありますが項目によってはアジャスターの大半は「払ってもいいじゃないか」と思いながら交渉しています。他にも多くの『定量項目』すなわちここまでなら認めていいと会社から言われているものが多く存在します。いくつか例を挙げると・・・
・産業廃棄物処理費用
・写真費用
・ショートパーツ
・クーラントやフロンガスの量あたり単価
・コーティング費用
・4輪アライメント計測要否
・ライセンスプレート再発行や再封印手数料
などなど
こういった定量項目で減額の申し入れがあった場合は真に必要な場合を除いて応じてあげてください。
「定量項目なんだね?」と聞いてあげて、理解をしてあげてください。
そうすることによって他の交渉が容易になりますし、他の項目のツッコミが緩くなります。
例えば、ある程度板金工賃を盛っていたとしても目を瞑るようになります。
回数を重ねた後の交渉にも効果が現れます。
1,000円の項目に拘って引かないと、「払えない項目を無理に通すなら他で引かなければ」という心理になりますよね?
であれば1,000円引いても板金で3,000円引かれるよりはいいと思いませんか?
そもそも引く必要がないと思われてる方はいらっしゃると思いますが、交渉がすんなりいかないと時間が取られます。
何よりも大切な「時間」を無駄にしないように何がより良いかは賢明な経営者様であればお分かりいただけるはずです。
【スピーディに着地点を見つける】
アジャスターは先ほどお話しした『定量項目』の他に『指数』や様々な物差しとなる基準をもとに自己見解を作成します。
簡単に言ってしまえばその自己見解の『金額』と折り合いがつくかどうかが重要です。
交渉の前にそもそも妥当な修理費がいくらと考えているかを聞くのが近道でしょう。
また、その他にも協定見積もりに対する説明責任がついて回ります。
分かりやすい例でいくと、100:0加害事故で相手の車がフロントバンパ取り替えのみの修理内容の場合、等級ダウンによる保険料差額が修理費より高い場合は等級ダウンをしないように相手の修理費を自己負担するというケースがあります。
この場合加害者はできるだけ相手の修理費を安くしたいわけです。
そんな事情があるのにも関わらず簡単に交換判断をしたり「何これ?」と思うような項目を計上して置けないわけです。
つまり加害者に「何これ?」と言われたら説明するのはアジャスターなのです。
保険だから、被害事故だからという理由では法的に問題があります。このあたりを是非ご理解いただきたいと思います。